いろんな業者のVPSを試したので比較してみた

いろんなVPS業者を試したので比較してみた VPS業者比較
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国内、海外をあわせて8業者のVPSを試したので、性能や使い心地を比較してみたいと思います。

同じ業者の同じプランでも割り当てられたサーバーで性能や使い心地が異なることがあると思いますが、VPS業者選びの一助になれば幸いです。

  • 国内業者
    シンクラウド(スタートアップ)、さくら(W4G)、Winserver(WS23-3G)、ABLENET(Win2)
  • 海外業者
    VPSForexTrader(Standard)、ForexVPS365(Basic+)、Fxvps.pro(PROFESSIONAL)、ForexCheapVPS(STANDARD)

カッコ内はプラン名

これまでの経緯については↓の記事をご覧ください。

CPU

CPUの性能をベンチマークソフト(CrystalMark Retro)で計測しました。

まず、最初に言っておかなければならないのは、どの業者も必要十分以上の処理性能でした。
正直なところ、もっと低くてもよかったです。

その上で比較すると、

  • 「シンクラウド」の性能がずば抜けている
    シングルコア性能、マルチコア性能ともにトップです。
    でも、こんな性能が必要になるアルゴリズムがあるんだろうか…。機械学習とか?
  • 格安業者だからといって性能が低いわけではない
    とても驚いたんですが、格安業者の「Fxvps.pro」と「ForexCheapVPS」の性能が想定外に高いです。
    シングルコア性能だと「シンクラウド」についで2位と3位です。
    「安かろう悪かろうじゃないの?」と疑ってたんですが誤りでした。ごめんなさい。
  • CPU使用率が性能に比例するとは限らない
    何が影響しているのかは分かりませんが「ForexVPS365」のCPU使用率が異様に高いです。
    いつ確認しても高かったです。
    自動取引に影響するほどではないと思いますが、ちょっと気になります。
    ほかにも「ABLENET」がほんの少しだけ高めなようです。
  • 性能に制限がかけられている可能性もある
    「VPSForexTrader」のマルチコア性能がシングルコア性能を考えると低すぎます。
    ベンチマークテストなどで負荷が高い状態が続くと性能が制限されるのかもしれません。
    もしかしたら他の業者でも本当の性能より低い値が出ているところがあるかもしれません。
業者名プラン名ブランド
型番/開発コード
基本周波数
コア数シングル
コア性能
マルチ
コア性能
使用率
シンクラウドシンクラウド
デスクトップ for FX
スタートアップ
AMD EPYC
Milan
2.4GHz
39,59827,1253~6%
さくら
インターネット
さくらのVPS
for Windows Server
W4G
Intel Xeon
Cascadelake
2.1GHz
45,57220,8434~8%
ABLENETWindowsプラン
(仮想デスクトッププラン)
Win2
Intel Xeon
E-2388G
3.2GHz
35,93417,3869~19%
Fxvps.proPROFESSIONALIntel Xeon
E-2136
3.3GHHz
28,03015,6924~17%
ForexCheapVPSSTANDARD不明
不明
3.9GHz
27,38514,4863~7%
Winserver仮想デスクトップ
WS23-3G
Intel Xeon
E5-2620 v4
2.1GHz
43,98511,3315~10%
ForexVPS365Basic+Intel Xeon
Cascadelake
2.1GHz
25,06710,05024~72%
VPSForexTraderStandardAMD EPYC
7702P
2.0GHz
25,3725,6044~20%
自宅PC(参考)Intel Xeon
E5506
2.13GHz
42,4349,8950~5%

メモリ

1週間ほどMT4/MT5を稼働させ続けてメモリ使用量を確認しました。
(cTraderを稼働させ続けるとメモリが不足することが分かったのでMT4/MT5だけで試しました)

比較して分かったのは、

  • 「Fxvps.pro」と「ForexCheapVPS」はVPS起動直後のメモリ使用量が少ない
    仮想化基盤の違いなのか、OSの違いなのか、起動させるサービスをチューニングしているのか、起動しただけの状態(MT4/MT5を立ち上げる前)のメモリ使用量が明らかに少ないです。
    これによってメモリの少ないプランでもいけるということになれば、とてもお得な気がします。
    あとは「Winserver」も少なめです。
業者名プラン名容量VPS起動直後の
使用量
アプリ起動から
1週間後の使用量
Fxvps.proPROFESSIONAL3GB0.6GB1.2GB
ForexCheapVPSSTANDARD4GB0.7GB1.5GB
Winserver仮想デスクトップ
WS23-3G
3GB0.9GB1.5GB
VPSForexTraderStandard4GB1.2GB1.8GB*1
ABLENETWindowsプラン
(仮想デスクトッププラン)
Win2
3.5GB1.2GB2GB
シンクラウドシンクラウド
デスクトップ for FX
スタートアップ
3GB1.3GB2.1GB
さくら
インターネット
さくらのVPS
for Windows Server
W4G
4GB1.4GB2.2GB
ForexVPS365Basic+5GB*31.2GB2.4GB
自宅PC(参考)6GB0.9GB3.7GB*2
*1:お試し期間が3日間だったので、起動から2日強の値です。
*2:「cTrader × 2」を含みます。
*3:プラン本来の容量は4GBのはずですが、なぜか増量されてました。

ストレージ

FXの自動売買でストレージの性能が必要になることがあるかは分かりませんが、一応、ベンチマークソフト(CrystalMark Retro)で計測しました。

ちなみに、アプリの起動時間などに差を感じることは多少ありましたが、実際に操作したときに動作が遅いと感じるような業者はありませんでした。

その上で比較すると、「ABLENET」、「Winserver」、「シンクラウド」はバランスよく高ポイントなので、連続して高負荷になっても制限が掛からないか、掛け方がかなり緩いと思います。
他のところは制限が掛かっているのか、本当に性能が低いのか分かりません。

個人的には適度な制限があったほうがいいのではないかと思います。
同じサーバーの同居人がどんな使い方をするか分からないので。
(ごめんなさい、ベンチマークテストするような人が言う事じゃないですね…)

業者名プラン名容量シーケンシャル
リード性能
ランダム
リード性能
シーケンシャル
ライト性能
ランダム
ライト性能
ABLENETWindowsプラン
(仮想デスクトッププラン)
Win2
120GB20,51527710,275329
ForexCheapVPSSTANDARD30GB9,9342735,866443
さくら
インターネット
さくらのVPS
for Windows Server
W4G
200GB2,1381902,13582
VPSForexTraderStandard50GB4,0291624,324267
Winserver仮想デスクトップ
WS23-3G
180GB14,77614714,061123
シンクラウドシンクラウド
デスクトップ for FX
スタートアップ
150GB15,06812710,414190
ForexVPS365Basic+25GB2,482102,54810
Fxvps.proPROFESSIONAL31.6GB*1503450129
自宅PC(参考)58.4GB2,374104884
*1:プラン本来の容量は22GBのはずですが、なぜか増量されてました。

ping値

FX業者の取引サーバーとの通信時間を気にするようなアルゴリズムを持っていないので、個人的にはあまり気にしていないんですが、ping値(MT4/MT5の右下の接続状況で確認した値)も載せておきます。

本当は取引サーバーが東京にあるFX業者も比較できるとよかったんですが、使っている業者の中にいなかったのでロンドンとニューヨークだけになります。

業者名プラン名サーバーの
設置場所
FX業者A
(ロンドン)
FX業者B
(ニューヨーク)
FX業者C
(ロンドン)
FX業者D
(ロンドン)
シンクラウドシンクラウド
デスクトップ for FX
スタートアップ
国内239.62ms148.26ms226.91ms224.66ms
さくら
インターネット
さくらのVPS
for Windows Server
W4G
大阪237.59ms147.64ms226.28ms237.70ms
Winserver仮想デスクトップ
WS23-3G
大阪239.86ms151.76ms252.86ms248.06ms
ABLENETWindowsプラン
(仮想デスクトッププラン)
Win2
大阪238.52ms165.91ms228.04ms220.06ms
VPSForexTraderStandardロンドン2.50ms67.87ms5.23ms2.38ms
ForexVPS365Basic+アムステルダム7.84ms73.34ms9.82ms12.74ms
Fxvps.proPROFESSIONAL指定なし*12.20ms74.94ms2.41ms2.68ms
ForexCheapVPSSTANDARD指定なし*12.33ms72.51ms2.38ms2.69ms
自宅PC(参考)国内239.28ms159.31ms231.39ms228.28ms
*1:通信時間からロンドンだと考えられます。サーバーの場所を指定すると価格が上がるので指定しなかったんですが、申し込み時に記入したFX業者(の取引サーバー)の近くを割り当ててくれたんだと思います。

通信品質

MT4/MT5のログから取引サーバーとの通信が途絶していたと考えられる時間(「connect failed [回線不通!]/ping failed/datacenter connecting failed/MQL5.community: authorization failed/connection to xxxx lost」から「login on xxxx through xxxx/authorized on xxxx through xxxx」の間)を算出しました。

また、時間は次の条件でカウントしました。

  • 土日(市場が閉まっている間)はカウントしない
  • どの業者も共通しているものはFX業者側が原因と考えられるのでカウントしない
  • 7つのFX業者/口座タイプの合計
業者名プラン名1週目
(5日間)
2週目
(4日間)
3週目
(5日間)
シンクラウドシンクラウド
デスクトップ for FX
スタートアップ
86秒1秒
さくら
インターネット
さくらのVPS
for Windows Server
W4G
59秒4秒
Winserver仮想デスクトップ
WS23-3G
1,483秒789秒
ABLENETWindowsプラン
(仮想デスクトッププラン)
Win2
13秒
VPSForexTraderStandard71秒*1
ForexVPS365Basic+0秒
Fxvps.proPROFESSIONAL2秒125秒
ForexCheapVPSSTANDARD2秒2秒
自宅PC(参考)22秒1秒0秒
*1:お試し期間が3日間だったので、2日強の値です。

あきらかに「Winserver」の品質がよくないですが、ここまで他と違うと何か設定を間違えていたのかもしれません。

まとめ

やっぱり実際に使ってみないと分からないことってあるんですね。

予想では「やっぱり格安業者は使えないなー」からの「じゃあ、使える中で安いのはどこなんだ?」っていう流れになると思っていたんですが、「えっ、格安業者でよくね⁉」という結果で驚きました。

今回試した格安業者は「ForexCheapVPS」と「Fxvps.pro」という海外業者なんですが、どちらもVPS起動時のメモリ使用量が少ないので、さらに安いプランを視野に入れることもできそうです。

サポートのほうも「ForexCheapVPS」とは何回かやり取りしたんですが「Google翻訳」でなんとかなりそうだし、特に問題はなさそうです。(何回か「Google翻訳」を使った印象だと、主語(’私’とか’あなた’)を明示してあげたほうが上手く翻訳できる気がします)

ちなみに「ForexCheapVPS」と「Fxvps.pro」なんですが、プランの構成や、ショッピングカート/アカウントページのつくりなどが、実は運営会社が同じなのでは?と思ってしまうくらい似ています。(もしくは分離、独立したとか?)

それ以外では、『自宅PCからVPSへの移行を検討 』したときよりも、cTraderのメモリ使用量が更に増えていていました。
cTraderについては「cTraderクラウド」を使うことを検討したほうがよさそうです。

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