ナンピンの記事 からのつづきです。
今回はマーチンゲールについて調べて、使えそうか検討してみます。
どんな手法?
もともとはカジノで考えられた手法で、”「負けたら次は倍掛け」というのを勝つまで続ける”というものです。
単純にFXへ適用すると”「負けたら次の取引量を倍にする」というのを勝つまで続ける”ということになると思いますが、厳密には”「負けたら、次の取引でその損失額を取り戻せるように取引量を加算する」というのを勝つまで続ける”というのが正しいと思います。
たとえば USDJPY を 150円で 1ロット買ったあとにレートが 149円に下がってストップロスにかかったため 1万円の損失になったとします。
その次の取引で USDJPY を 149円(利確 147円)で売りたいとします。
この場合、利確したときに前の取引の損失額の 1万円を取り戻せるように、取引量を+0.5ロットします。
メリット
固定ロットで取引するよりも速く資金を増やすことができます。
なぜなら 1回勝てばそれまでの損失を帳消しにできるからです。
固定ロットの場合、ドローダウンが大きいほど回復するまでに必要な取引回数も多くなる可能性が高いです。
デメリット
固定ロットで取引するよりも破産しやすくなります。
というのも、負け続けるほど取引量が増えるので、それにあわせて1回の取引での損失額も増えていきます。
そのため、固定ロットの場合より連敗数が少なくても資金が尽きる可能性が高くなります。
第1印象
これも一種の資金管理方法といえる…のかな?
破産確率を下げることより資金を速く増やすことを重視した資金管理方法?
とにかく、この手法もナンピンと同じでエントリーのタイミングは別の手法で見極める必要があります。
どういった手法と組み合わせるのがよいのかも検討しなければなりません。
とりあえずデメリットを回避する方法として思いつくものを列挙してみます。
- 連敗の少ないアルゴリズムと組み合わせる
→ 負け続けるほど取引量(=リスク)が増えるから - トレーリングストップで損失をおさえる
→ ドローダウンが大きいほど取引量(=リスク)が増えるから - 取引量に制限をかける
→ ダメージを軽減するため
試してみた
ナンピンの記事で使用したEAを使いまわして試してみました。
(※ナンピンはしません)
マーチンゲールなしの結果
まずはマーチンゲールなしの素の状態の結果がこちらです。
ちなみにEAとバックテストの概要は以下のような感じです。
- ドンチャンチャネルを使用した逆張り
- 0.1ロット固定
- EURUSD、1時間足
- テスト期間は2023年の1年間
マーチンゲールありの結果
上記のEAに次のアルゴリズムを組み込みました。
- 利確したときにドローダウンを取り戻せるようにロット数を調整して発注
その結果がこちらです。
マーチンゲールの効果
もとからドローダウンの回復に苦労していないためか、それとも連敗が少ないからか、そこまで大きな違いはありませんでした。(サンプルがよくなかった?)
とはいえ、予想していた方向への変化はありました。
- 総損益が増えた(99,234円 → 153,151円)
- 残高最大ドローダウンが増えた(38,268円 → 51,569円)
感想
サンプルがよくなかっただけかもしれませんが、ナンピンほどの大きな効果は感じられませんでした。
ただ、やはり連敗には気をつける必要がありそうです。
以下は同じものを「2017~2023年の7年間」でテストした結果です。
なんと残高最大ドローダウンが驚異の 4,546,281円!!(連敗数は 23回)
初期残高が 5,000,000円だからぎりぎり大丈夫だったけど、ふつうに破産と考えたほうがいいですね…。
ただ、その後のリカバリーも驚異的です。
ドローダウンとリカバリーという2つの特徴がよくわかります。
まとめ
固定ロットで取引するよりドローダウンからのリカバリーが速いぶんは資産も速く増やせます。
そのかわり連敗すればするほど取引ロット数が増えるので破産のリスクが加速度的に高まります。
結論としては、以下のような条件を満たすなら使ってもいいかもしれないと思います。
- 以下のことが確認できている
- 勝率が高い
- 連敗数が少ない
- ドローダウンが少ない
- 予想される最大ドローダウンに耐えることができる(資金的にも精神的にも)
- 破産リスクを受け入れることができる
勝率とかの具体的な数値は詳しく検証してみないとわからないけど、ナンピンよりは使用のハードルが低い気がします。